戦略策定へ応用
在庫管理
- ・在庫管理についてご説明します。
- ・商品の売れ方から商品のリスクを測り、商品ごとの扱いを検討します。
- ・不明点あれば問い合わせください。
- ※当サイトで掲載しているデータは適当に作成したものであり、実際のものではありません。
売れ方による商品の分類
売上と売れ方から、以下のように商品を4つに分類することができます。
これら4つの分類は、以下のように商品をABC分析することで得ることができます。
この方針で商品を分類し、その結果を踏まえ、クラスごとに在庫管理の在り方を検討していきます。
売れ方から商品のリスクを測る
あまり売れていない商品が売れなくなっても損失は少なく済みます。
対して、クラスAの商品が突然売れなくなると、大量の在庫廃棄が発生しかねません。
そこで、各商品のリスクとして標準偏差を算出し、売れているが売れなくなる可能性の高い商品を抽出します。
以下、売上がばらついている商品の比較と標準偏差の説明です。
左側(青色)の商品は、毎月、安定して約150個を売り上げています。
右側(赤色)の商品は、左側の商品同様に、月あたり平均して約150個を売り上げてはいますが、月ごとにかなりのばらつきがあります。
ばらつきが大きいということは予想が難しいということです。
つまり、左側の商品は次の月に何個売れるか予想しやすく、一方で、右側の商品の売上を予想することは容易ではありません。
売上を予想して仕入れする背景があることを考えると、予想が外れる可能性が高いということは、在庫廃棄となるリスクが高いということを意味しています。
ここで、標準偏差について説明します。
統計において、ばらつきを表す統計量として分散と標準偏差があり、以下の計算式で与えられます。
分散は標本分散です。
以降は標準偏差を積極的に利用します。
ばらつけばばらつくほど標準偏差は大きくなります。
さきほどのグラフの例における標準偏差は、
・左側(青色)の商品の標準偏差:10
・右側(赤色)の商品の標準偏差:62
となります。
クロスABC分析により、リスクの高い商品を抽出する
売上額と標準偏差でクロスABC分析することで、売れている、かつ、売れ方が不安定な商品を抽出します。
標準偏差は、売上数の売上傾向より求めます。
ただ、値の規模が大きいと必然的に標準偏差も大きくなりがちです。
よって、予想の難しさのような、形状だけを見て算出したい場合は、規模は調整するようにします。
クロスABC分析では、複数のABC分析の結果を利用してクラス分けします。
以下の表では、2種類のABC分析の結果を利用して、クラスAAからクラスCCまでの9種類のクラスに分けています。
2種類の場合、9種類ものクラスができることから、すべてのクラスについて考察することはせず、特徴的な一部のクラスについてのみ考察するようにします。
ここでは、AA・AB・BAとCC・CB・BCの両グループに注目し、それぞれのアプローチを検討します。
より正確に、複数のABC分析の結果を統合する場合は、単純にクラスで合わせるのではなく、順位もしくは順位を決定づけている数値で合わせます。
合わせ方として、相乗平均やユークリッド距離などを用います。
ここでは順位を相乗平均で統合します。
まとめると以下の手順のようになります。
【手順1】商品を売上額でABC分析する。
【手順2】商品の売上数の推移から標準偏差を算出する。
【手順3】商品を標準偏差でABC分析する。
【手順4】売上額と標準偏差のそれぞれのABC分析の結果から、リスクの高い商品を抽出する。
※今回は、相乗平均からリスクの高い商品を抽出するため、厳密にはクラスAAの商品ではない。
以下、売上と標準偏差でクロスABC分析し抽出したリスクの高い商品です。
リスクが高い商品に定食が目立ちます。
定食は、主菜がユニークであることが多く、在庫廃棄のリスクとなります。
関連する食材を仕入れるにあたって該当商品の売上の傾向に特に注意を要します。
該当の食材の棚卸の頻度を上げることも考えられますが、人件費の兼ね合いもあり、IoTの在庫管理の仕組みも視野に入れるとよいでしょう。
対して以下は、リスクの低い商品を抽出した結果です。
ドリンクやライスなど、日常的に注文される商品は安定して売れ続けています。
豚カツ定食やハンバーグ定食など、人気の高い定食も安定して売れ続けていることが分かります。
ここで、唐揚げ定食や塩サバ定食は、在庫廃棄のリスクが高い商品としても上位に位置しています。
これは、売上額が高く、標準偏差が平均に近いためです。
不安定と言えば不安定であり、安定していると言えば安定している商品です。