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データ解析(手法)

バスケット分析

  • ・バスケット分析のやり方についてご説明します。
  • ・手順が複雑ですので、プログラミングすることを推奨します。
  • ・Excelのような機能が豊富なスプレッドシートでも分析はできますが、やり方は工夫しなければなりません。
  • ・不明点あれば問い合わせください。
  • ※当サイトで掲載しているデータは適当に作成したものであり、実際のものではありません。

バスケット分析とは


 バスケット分析とは、バスケット単位のデータ(伝票単位のデータ)に着目した分析の総称です。 アソシエーション分析と並んで紹介されることが多い手法です。 それどころか、バスケット分析をアソシエーション分析に含ませて取り扱われることが多々あります。 というのも、アソシエーション分析はバスケット分析を兼ねているためです。 逆に、バスケット分析にアソシエーション分析を含ませて取り扱われることも多々あります。 それだけ両社は近い分析手法と言うことです。 ここではそれらは別々のものとして取り扱います。

 ではバスケット分析とアソシエーション分析は何が違うのでしょうか?  それは分析の意味するところが違います。 アソシエーション分析関連を明確化する分析です。 対してバスケット分析バスケット(=かご=伝票単位のデータ)に着目した分析の総称です。 何を分析するかで区別されたのがバスケット分析で、分析の結果が何かで区別されたのがアソシエーション分析です。 しかし、両者を厳密に区別することはできません。 ここでは、バスケットに着目した分析であっても、分析結果が関連であればアソシエーション分析とします。 それ以外でバスケットに着目した分析をバスケット分析と称します。



バスケット分析のやり方


 まず、分析対象とするデータを用意します。 バスケット分析では伝票単位で分析するため、用意すべきは伝票単位のデータです。 以下に伝票単位のデータの例を示します。

   

このようなトランザクションデータに対して、以下のような手順で分析を進めていきます。

   【手順1】トランザクションデータから伝票データと明細データを抽出します。
   【手順2】明細データから伝票データの特徴を抽出し、伝票データに加えます。
   【手順3】手順2を踏まえ、再度、伝票データを分析します。
   【手順4】最終的に、調査したい指標を算出します。

 目的の指標が求まったところで分析は終了です。 後は、分析された結果に対して、原因の考察と対応を考えていくのみです。 例として、以下はPOSレジのトランザクションデータを分析した結果です。

   

この分析結果は、

   

のように分析の仕方を決め分析した際の結果です。この結果に対して、活用の仕方の通り対応します。

 ただし、ここで示した手順はあくまでも例です。 冒頭で説明した通り、バスケット分析は、バスケットに着目した分析の総称であり、定まった手順はありません。 目的によって調査したい点は異なり、分析手法もそれに合わせて変えていかなければなりません。 よってバスケット分析は、とりあえず行う分析というわけではありません。 目的を意識し、その目的を果たすために何を知るべきか明らかにした上で実施するものです。



バスケット分析の特徴


 バスケット分析では、バスケット単位のデータ(伝票単位のデータ)に着目して分析します。 そうして、伝票単位明細単位という二つの側面で分析することができます。 もし伝票単位で分析できれば、顧客を捉えることができるようになります。 明細単位は商品を捉えることに向いており、伝票単位は顧客を捉えることに向いています。 アソシエーション分析で紹介した「紙おむつとビール」の話も、紙おむつとビールという商品を分析しつつ、それを購入する顧客とその背景を考察しています。 このようにバスケット分析は、商品を捉えることしかできない分析とは違って、顧客の特徴を考察する目的でも利用されます。

 ただし、バスケット単位のデータ(伝票単位のデータ)は取り引きした際のトランザクションデータが前提となっています。 というのも、バスケット単位のデータが作成されるタイミングは、取り引きがなされた場合が主だからです。 よって、バスケット分析と言うと、取り引きに関する分析というのが一般的です。 そういう意味では、バスケット分析は、アソシエーション分析よりも応用範囲が狭い分析ということになります。 アソシエーション分析と比較して、バスケット分析の方が手段は広くとも応用範囲は狭いのです。



バスケット分析の利点


 店舗のPOSシステムや販売管理システムはバスケット単位でデータが保持されています。 そして、そのようなPOSシステムや販売管理システムは、大抵の事業者で導入されているものです。 ゆえに、幅広く自社のデータをバスケット分析することができます。 確かにアソシエーション分析と比較して、バスケット分析の応用範囲は狭くはありますが、適用できる対象は広大です。 顧客の考察にも利用できることから、自社の戦略の策定や反省に応用することもできます。

 ただしもし、システムの保持するデータに明細単位と伝票単位が混在していれば、それらを分割しなければなりません。 また、明細データから伝票データを作成する際も、それなりに複雑な手順を踏むことになります。 この点、バスケット分析は、Excelのようなスプレッドシートで簡単に実施できる分析ではありません(不可能ではありません)。 および、バスケット分析にはこれと言って指定の手順はありません。 そういう意味で、自由に何でもできるスプレッドシートは一見して望ましいかもしれません。 しかしもし、スプレッドシートで実施できそうになければ、自らプログラミングすることも検討しなければなりません。



バスケット分析の活用例


 最後にバスケット分析の活用列をいくつか挙げておきます。

書店の売り場づくり:
書店にて、書籍の配置が考えられています。 売り場には、表紙が見えるように並べるテーブルと、背表紙だけが見えるように並べる本棚の、二種類のスペースがあります。 ただし、スペースには限りがあるためできればすべて本棚に配置したいところですが、表紙が見えた方が購入率は高くなります。 どのように配置すればいいのでしょうか?  これに対してまず、書籍ごとの売上数、および、売上貢献度を調査するようにします。 そして、単独で売上数が高い書籍、および、売上貢献度の高い書籍をテーブルに配置し、それ以外の書籍は本棚に配置するようにします。

飲食店におけるチラシの効果の検証:
飲食店にて、商品に大きな変更があるたびにチラシを作成し、定期的に集客しています。 しかしこれまで、チラシの効果について検証してきませんでした。 そこで、チラシがどれだけ効果があるのか検証し、今後の集客の在り方を検討するようにします。 まず、来店理由がチラシである伝票の比率を調査します。 チラシに特典を付けておき、会計時に提示してもらうことで、該当の伝票に記録するようにします。 その結果を踏まえ、どういったチラシを誰に配った結果、どういった客層に受けが良かったかを分析し、次回のチラシ作成にフィードバックします。

アパレルショップにおける接客対応の検討:
アパレルショップにて、どの組み合わせがいいか、スタッフに相談するお客様の件数が増えてきました。 元々、スタッフへの相談時間はあまり考慮しておらず、特定のお客様の対応に集中していると他のお客様への対応が悪くなり、かつ、お客様の回転率を低下させかねません。 何か改善策はないでしょうか?  そこで、会計時に、スタッフが相談されたかどうかを記録し、相談された伝票の特徴を分析するようにしました。 スタッフに相談する顧客の伝票を調査したところ、服装にこだわりのないお客様が多いことが分かりました。 こだわりがないのだから適当に買うかというとそうではなく、逆にスタッフに相談して選んでいる、ということでした。 よって、そういった顧客向けにあらかじめ商品セットをいくつか作成しておき、それらの中から提案するスタイルをとるようにしました。