戦略策定へ応用
努力目標
- ・努力目標(KPI)についてご説明します。
- ・ここでは損益分岐点に基づき努力目標を設定します。
- ・不明点あれば問い合わせください。
- ※当サイトで掲載しているデータは適当に作成したものであり、実際のものではありません。
職場における努力の方向性
会社組織には目的や業務内容に応じた様々な部署があります。
当然、部署ごとに努力の方向性は異なります。
創造性が求められる部署もあれば、協調性が求められる部署もあります。
職場を概観すると、例えば、以下のような方向性の努力があります。
その上で、作業計画の立案や人事評価のためにも、部署や従業員の努力目標を設定しなければなりません。
方向性が異なる以上、努力別に努力目標を設定したいところですが、共通の評価基準はなく、設定は容易ではありません。
唯一、共通の目標として、損益があります。
この損益から、努力目標を算出します。
必要に応じて、努力目標にさらに一定の比率を掛け合わせ、努力目標を調整します。
中には売上に直結していない部署もあり、その場合における努力目標の設定にはさらなる工夫が必要です。
営業と開発の努力目標の設定
営業は、成果が確率的であり、事前に成功確率を求めておく必要があります。
これを損益分岐点と掛け合わせ、努力目標を算出します。
表より、利益がプラスに転じる点(損益分岐点)は、売上数が11点のときだと分かります。
成功確率が25%だとすると、損益分岐点の4倍の44件が努力目標となります。
つまり、11点の商品を契約するために44件は営業しなければならないということです。
もし1件あたり4時間かかるならば、176時間はこの件に費やすことを想定しなければなりません。
対して開発は、単純作業であれば個体差は関係しませんが、頭脳労働になればなるほど、損益に個体差が大きく影響してきます。
また、変動費の高い営業とは対称的に、開発の場合は固定費に占める経費の割合が高い傾向にあります。
表より、利益がプラスに転じる点(損益分岐点)は、売上数が12点のときだと分かります。
これに開発部で定めた一定の比率1.25を掛け合わせ、15点を努力目標とします。
1点あたり10時間かかるならば、全体で120時間以内(150時間以内ではない)の完成を目指します。
このように、営業も開発も、損益分岐点から努力目標を設定することができます。
特徴として、営業は契約の件数が所定の基準を超えることを目標とし、開発は所定の工数で開発が完了することを目標としています。
どちらも損益に基づき努力目標を設定していますが、部署ごとの努力の方向性に準じた努力目標となっています。
ここでは従業員別を想定しましたが、区分けを変えることで、部署別や商品別でも同様に努力目標を設定することができます。
時間を基準とした努力目標
通常、CVP分析では、金額を対象とします。
しかし、作業員の労働は時間で管理されることが多く、金額より時間の方が取り扱いやすいものとなっています。
以下、作業員の労働力を時間の観点でCVP分析した結果です。
時間とした場合、予定工数が売上額となり、実工数が費用となります。
表より、利益は処理数が7点のときにプラスに転じており(損益分岐点)、この作業員の場合、余裕をもって利益を出せていることが分かります。
努力の方向性
ここでは損益分岐点から努力目標を設定しました。
損益分岐点は、経費と売上から求められます。
さらに、経費には固定費と変動費があります。
そして、この固定費と変動費で努力の方向性を捉えると、以下のようになります。
さきほど営業と開発を取り上げて努力目標を設定しました。
営業は固定費は低いが変動費は高い、一方、開発は変動費は低いが固定費は高い、という特徴があります。
よって、営業は軽い部署であり、開発は重い部署に該当します。
ただし、必ずそうなるということはなく、営業が重く、開発が軽い、という場合も多々あります。